年下御曹司の箱入り家政婦

「えらいわ。櫻ちゃん。
きっと食わず嫌いもあったのね。
これなら次はピーマンも食べれるんじゃない!」

羽菜ちゃんは目をキラキラさせながら
僕のお皿に最後まで残っている
ピーマンを勧めてきた。

これは食わず嫌いの域を越えて
大嫌いだから食べたくない。

僕が戸惑っていると
羽菜ちゃんは自分の箸で
僕のピーマンを掴んで
「ほら、あとはこのピーマンだけなんだから頑張れ!はい、あーん」
目の前に差し出してきた。

僕は内心"間接キスだよね?"と
思いながら無意識に口を大きくあけて
パクリとピーマンを食べていた。

「よし!良い子ね」と羽菜ちゃんは
僕の頭を撫でる。

僕はピーマンの味が分からないくらい
間接キスのことばかりで頭が一杯になっていた。

顔が真っ赤になっていたのだろう。

母はニヤニヤしながら
「今度から櫻ちゃんの躾は羽菜ちゃんにしてもらいましょう!」
と手を叩いて提案した。

その日から、あれほど嫌だったピーマンの
入った献立が楽しみになったんだっけ。

僕ってほんと単純だなと自分でもおもう。

羽菜ちゃんさえ応援してくれるなら
僕は総理大臣にだって野球選手にだって
なれるようにさえ思うのだ。