年下御曹司の箱入り家政婦

「そんな割れた経緯なんてどうでもいい。
仏の顔も三度までだぞ。」


「えっ!?新さんが仏の顔ときってありましたでしょうか?」

玉木は真剣な顔で問いかけてくる。
こいつは悪気がない分、余計に腹が立つ。
ほかの社員はそれを聞いてクスクスと笑いを漏らした。

「お前っ(怒)
今度から何かしでかすたびに給与からてんびきしていくからな」

「ひイーーー。ほんとにわざとじゃないんですっ
それだけはご勘弁をーー」


「冗談だよっ。早くそこ片付けとけよ」

「は、はいっ」

玉木はあろうことか素手で割れた皿を拾い出した。

「わっ、バカっ!!」

しかし、慌てて俺が止めようとしたときには
「つっ…痛い...(泣)」
玉木の指からは血が滴り落ちていた。

「ったく...素手で拾うやつがあるか...」

俺はすぐに駆け寄ると
「すみません...」
更にしょんぼりと落ち込む玉木の手を
綺麗な布巾で覆った。

「悪い。玉木の傷手当てしてくるから
この割れた食器頼む」

俺はほかの従業員に割れた食器のかたずけを頼むと
落ち込む玉木を奥の更衣室へと連れていった。