side 新

長年思い続けていた夢島に振られてから、
年も変わり、俺は開店した新店舗で新しいスタートを
切っていた。

夢島のことを完全に吹っ切れたかというと
嘘になるが、日々の慌ただしさでのお陰で
思い出して胸が痛むことも徐々に減ってきたと思う。

だけど先日夢島の結婚式に出席したときに
夢島の幸せそうな姿を目にして
嬉しい反面やはり自分がその隣にいたかった
という悔しい思いもあった。

だけどその夢はもう叶わないのだから
諦めるしかない。

俺は鍋に入ったミネストローネのスープを
お玉で少量すくうと小皿に移して
味見をした。

うん。あと少し塩を足すか...

俺が塩を探していると

がっちゃーーーーん

厨房内にけたたましい音が鳴り響いた。