「そこをなんとか!!
結婚おめでとう!!」

取って付けたような祝いの言葉に
僕は思わず顔が引き攣る。

そしてまだなんの承諾もしてない僕を
盾にして羽菜ちゃんの女友達の輪に連れて
行こうとする。

「櫻ちゃん、関さんの行きつけのカラオケバーで3次会しないかって話しになってるんだけど、どうする?」

そこに僕の可愛い奥さん、羽菜ちゃんが現れて僕は一気に癒される。

「あれっ?斗真くん?」

羽菜ちゃんは僕の後ろで背中を押していた
斗真に気付いて呼び掛けた。

「あっ羽菜さん!
結婚おめでとうございます。
ドレスとっても似合ってますね」

ドレス姿の羽菜ちゃんを見て急に
斗真はデレデレとだらしない顔を浮かべる。


「ありがとう」とお礼を言う羽菜ちゃんを
前に僕は顔が緩んだままの斗真の頭をポカンと叩いた。

「二人で何してたの?」

「斗真が羽菜ちゃんの女友達の仲を取り持てと煩いんだよ」

僕は羽菜ちゃんの大学時代の女の子達の輪を見ながら顎でシャクって指した。

「ああ、でもあの子達、斗真くんには悪いけどみんな彼氏いるのよね..」

羽菜ちゃんは困ったような表情で
「誰かフリーの子いたかなぁ?」
顎に手を当て考え込んでいる。

「羽菜さん、思い出してください」

斗真は祈るような瞳で
羽菜ちゃんを見つめる。

羽菜ちゃんは優しいんだから..
斗真なんてどうせすぐ振られるんだから
放っておけばよいのに..