年下御曹司の箱入り家政婦

迷惑をかけたことに身の置き場のない私は「あっ、はい!ご馳走させてください」と
もう一度頭を下げる。

しかし、顔をあげると新さんにおでこを指で弾かれた。

「アホ、奢らせるなんて冗談だ。
今日は俺の奢り。単純なお前は美味しいものでも食べたら悩みなんて忘れるだろ」

そう言って私を見下ろす新さんはやはり無表情なんだけど、声はいつもより柔らかい。

「あっ、ありがとうございます...」

いつも無口でたまに口を開けば毒舌の新さんが優しい...
いつになく優しくて逆にちょっとこわいけど新入社員の私でもちゃんと気にかけてくれているのだと感じて胸がホッコリと温かくなる。
なんだかジーンと目頭が熱くなった。

「あと5分で着替えすまさないと、お前の奢りな」新さんは腕時計で時間をはかり始めた。

「えっ!待ってください!
すぐ着替えて来ますからーー!」

私は大変だと言わんばかりに飛び跳ねるように更衣室までダッシュした。

羽菜が大慌てで走っていく後ろ姿を見て
新はフッと笑みを浮かべた。

それから着替え終わった私を連れて
新さんが入ったお店はおしゃれなダイニングバーだった。
窓側の席に通された私達は向かい合ってすわると新さんに好きなものを頼めとメニュー表を渡された。
しかし、メニュー表を開いた私は値段を見て驚愕する。
良い肉を使っているのだろうけど、どれも結構な値段だ。


「新さん、高くて選べないです」

私はボソリと伝えた。

眉をしかめた新は「お前は出さなくていい」と言うが「尚更選べないです」と私は困り顔で返答をする。

そんな私を見るに見かねた新さんは「俺が適当に頼むから飲み物だけ選べ」と別のメニュー表を掴んで開いた。


「お願いします」

私は申し訳なさげにお酒のページを開いた。

それから、新さんが注文した料理が次々とテーブルに運ばれ、それを二人で堪能する。

やはり値段と味は比例しているものだ。


出される料理はすべてが美味しい。


「ここのローストビーフは絶品なんだ」

私は新さんの勧めで一口食べてみる。

「口の中でとろけます」

あまりの柔らかさに私は頬張りながら目を細めた。

新さんは「そうだろ!」と自分が作ったかのようにちょっと自慢気だ。

あまりの美味しい料理の数々に普段あまり飲まないお酒も進む。

「で?お前の悩みって何だ?」

二人ともほろ酔い加減になったところで、新さんが口を開いた。