羽菜はキッと上目遣いで睨むと
櫻介はそれを見て悪戯に微笑んだ。

そして何食わぬ顔で
羽菜に右腕を差し出してくる。

もう...
折角、
アドリブの誓いの言葉に感動してたのに..

羽菜はふぅっと小さく息を吐くと
気を取り直してその腕に自分の腕を絡めた。

そして、  
先程、誠之介と歩いたヴァージン・ロードを
今度は櫻介と共に皆に祝福されながら歩く。

おじさまとおばさまが涙をハンカチで拭いながら見守ってくれている。

梓なんか号泣しちゃって..

斗真くんはなんだか羨ましそうな顔付きで
蘭ちゃんは涙を必死に堪えながら、拍手してくれている。

そして、関さん、茜ちゃん、オーナー、
新さんも笑顔で私達を祝福してくれている。


しかし、私の視界に新さんが入った途端、
櫻ちゃんはあろうことかいきなり私をお姫様抱っこした。

「ちょっと急になに?
櫻ちゃんっ
恥ずかしいから下ろしてっ」

ジタバタして抵抗を試みる私に
櫻ちゃんは「よそ見は駄目だよ」
と皆が見ている中、再び私にキスを落とした。

「なっ、何するのよっ」

ヒューと皆に冷やかされて
真っ赤な私の顔を
「生涯僕だけを愛するって誓ったでしょ?
ちゃんと僕だけを見てよね」
櫻ちゃんは嬉しそうに覗き込んでくる。

「ふざけないでっ、早く下ろしてっ」

櫻ちゃんは私が睨むと益々、
嬉しそうに目を細めた。



私の運命の相手はかなり面倒くさい。



自己中心的で我儘、
寂しがり屋で超がつくほど嫉妬深い。



それでも彼は、
私のたった一人の愛するひと。



               End