年下御曹司の箱入り家政婦

「それに僕は昔からここに来る度に
おじさんとおばさんに羽菜ちゃんといつか結婚して必ず幸せにするからって約束してたんだ。早く安心させてあげないと」

櫻ちゃんはお父さんやお母さんを 
だしになんとか私に承諾させようとする。

「お父さんもお母さんも少し急ぎすぎじゃない?と言ってると思うわ」


「そんなことないよ。おじさんもおばさんもグダグダ言ってないで早く僕と結婚して安心させてくれって言ってるよ」

そう断言する櫻ちゃんに
私はため息混じりに笑ってしまった。

「僕は羽菜ちゃんと一緒に幸せな家庭を築いていきたい。僕が一度言い出したら聞かない性格なのはよく分かってるでしょ?」

私が困った表情を浮かべていると
櫻ちゃんは私の手を取る。

「僕の夢を叶えられるのは羽菜ちゃんだけなんだ。お願いだよ...」

そして上目遣いに私の手の甲に
そっと口づけをした。


本当に困った男だ...きっとこれは私が首を縦に振るまで帰してはくれないのだろう...

私は少しの間、不安げな表情で私の答えを待つ櫻ちゃんを見つめたあと、
「結婚式を挙げるのは春がいいな...」
と呟いた。

「えっ?それって...」

「櫻ちゃん、一緒に楽しい家庭を作っていこ  うか?」

櫻ちゃんに向けてニコリと微笑んだ。

櫻ちゃんは「ヤッタァ!!」と叫んで「羽菜ちゃんありがとう!絶対幸せにするからっ」と嬉しそうな声で私の体をギュッと抱きしめる。

早まったかな...

と、思いつつも私はギュッと抱きしめ返した。

しかし、櫻ちゃんの言葉に
私は賑やかな未来を想像してしまい
楽しみに胸がいっぱいになったのだ。
そして気づいたときには
首を縦に振ってしまっていた。

「一生、大切にするから
ずっと僕の隣にいてください」

櫻ちゃんは私の薬指にダイヤの指輪を嵌め込んだ。

「それ、いくらしたの?」

結構なダイヤモンドの大きさに
私は恐る恐るたずねる。

「まあ、そこそこ..ねっ」

曖昧にこたえる櫻ちゃんに私は
結婚したら金銭教育が必要だと悟る。