そして二人で車に乗り込むと
マンションから二時間ほどの墓園まで
車を走らせた。

私の両親のお墓は見晴らしよい高台にあるといったが、駐車場からお墓までは
なかなかの傾斜だ。

辿り着くころには
かなり息が上がるほどだ。

「はあっ、やっと着いた..」

櫻ちゃんは膝に手を当て
息を整えながら呟いた。

「革靴なんかでくるからよ」

「さすがに靴はスニーカーにすればよかったよ。思いの外、滑るし。
それにしてもいつ来ても
ここは良い眺めだよね」

櫻ちゃんは眼下に広がる景色に
目を落とすと清々しい表情で言った。

「うん。今日は天気いいから
尚更気持ちいいわね」

空は青く澄み渡り、心地よい風が
鼻先をくすぐり
私は思わず深呼吸した。

そして、改めて墓石に向かい合った。

「お父さん、お母さん、
櫻ちゃんと顔見せに来たわよ。
なかなか来れなくてごめんね」

私は持ってきたお供物のお花を生けながら
お墓に向かって語りかける。