「いってぇ!」

斗真は足を手で押さえながら、
上目遣いに睨みつけてくる。

「ごめん!足が長くて当たったかな?」

斗真は「どこが長いんだよ。
思い切り踏みやがって」
と涙目で足を擦っている。

「なあ?
そういえばお前、茜さんとはどうなったんだよ?」

興味はないけど、話題を変えるべく
僕は問い掛けた。

「どうにもこうにも、何にも始まってねえよ..連絡交換ですら“嫌です”の一言で片付けられたよ..うぅっ...俺も彼女ほしい..」


斗真は思い出したように
ボヤきながら突っ伏した。

しかし、すぐさま「そうだっ」と
閃いたように顔を上げる。

「俺、日本人女性には受けないかもしれないけど海外ならイケるかも」

斗真は隣で夜景を眺めているアメリカ人美女二人に駆け寄ると
「ヘイ、ユールックベリーベリービューティフォー、アイラブユー♫」
つたない英語でアプローチしだした。

アメリカ人美女二人は苦笑いしながら
「Sorry,We are lesbians(ごめんなさい。私達レズなの)」

流石に英語が苦手な斗真もレズビアンと言うフレーズは分かったらしい。

「ワォ!!」と驚きの表情を向ける。

そして「それでもいいや。仲間に入れてって英語でどう言うの?」と俺に聞いてきた。

「Can I join?(仲間に入れて)」

僕が呆れながら斗真に教えると
再び彼女達に「キャンアイジョイン?」と問い掛けた。