年下御曹司の箱入り家政婦

「びっくりさせないでよ」

心臓が飛び出しそうになった私は目の前の櫻ちゃんに向かって声を荒らげた。

「さっきから羽菜ちゃん変なんだもん。
そんなに言いにくい話?」

櫻ちゃんは口をすぼめてつまらなそうにしている。

「ハッ!もしかして新と付き合うことになったとかっ」

そして、逆の方向に想像を膨らませて青褪めていく。

「なんでそうなるのよっ!
新さんにはこの間、
ちゃんとお断りの返事をしたわ」

この様子ではきっと私が櫻ちゃんに今から告白しようとしているなんて夢にも思っていないだろう。

「えっ!そうなの!」
櫻ちゃんは飛び上がりそうな勢いで声を上げた。


しかし、冷静さを取り繕うように
軽く咳払いをして
「そうか. . .新の告白断ったのか。
それは可哀想だけど仕方ないよね」
少し声のトーンを落として呟いた。

可哀想だと言ってる割に
緩む口元を手で覆って
喜びを隠しきれてない。

まったく、、と私は呆れたように息を吐く。

「じゃあ、僕に話ってなに?」

そしていきなり話を元に戻すものだから
私は心臓がドキッと跳ねた。

「話すから向こうに座って聞いてよ」

「やだ。羽菜ちゃんの顔が見えないからここで聞く。」

そう言って櫻介は目の前にしゃがみ込むと、上目遣いに私が話すのをじっと待っている。
話しづらいんですけど、と思いながらも
その子犬のような眼差しに私は困ったように眉根を寄せて息を吐いた。

すると、「でも、良かった。羽菜ちゃん今朝のこと怒ってないみたいで」
櫻ちゃんはボソリと呟く。

「今朝?なんかあったっけ?」

私はその言葉に覚えがなくて考え込んだ。