年下御曹司の箱入り家政婦

それから二人で車に乗り込んでからも
「ねえさっき母さんが言ってたのってなに?」と運転の合間合間に櫻ちゃんは聞いてくる。


私は「何でもないからちゃんと運転に集中して」としらを切り通す。

もう、おば様ったら、
絶対さっきのはわざとだ。

きっと本当は本人に教えたくて
ウズウズとしているのだろう。

でも、今日は帰って良かったと思う。
おじ様とおば様のおかげで勇気をもらえたような気がする。

私は隣でハンドルを握る櫻ちゃんの横顔を
見つめる。

おば様の言う通りこんなにも私のことを大切に思ってくれる人は世界中探しても他にいないと思う。

これが神様からの贈り物だとしたら
私はちゃんと受け取ってこれからもずっと大切にしたい。

私が見つめていることに気づいた櫻ちゃんは
「ん?僕の顔に何かついてるかな?」と
少し照れくさそうに呟いた。

「櫻ちゃん、家に帰る前に少し話がしたいんだけどどこか静かな場所で車停めてくれないかな?」

「えっ?うん。いいけど話って何?」

「後でね。」

何の話か気になって仕方ない櫻ちゃんは
運転の合間合間で「話って何なの?」と繰り返す。

私はその度に「後で話すから」と笑った。