年下御曹司の箱入り家政婦

「まあ、大体、話の内容は子供の話ばかりだったんだけどね。二人がどんな大人になってどんな仕事についてどんな人と恋をするのだろうって思い描いてたわ。男の子と女の子だから大きくなったら結婚させちゃう?って冗談交じり話すこともあったわね。」

おば様は涙を堪えて私に向って悪戯に微笑んだ。

「羽菜ちゃんのママね。ずっと羽菜ちゃんには私達4人が出会って友情や恋を育んだように沢山の素敵な出会いを経験して欲しいって願ってたのよ。その願いは叶ったかしら?」

おば様の問いに学生時代の友人や職場の仲間、蘭ちゃんや斗真くん、そして櫻ちゃんの姿を思い浮かべた。

私は微笑みながらコクリと頷いてみせた。

「それなら良かった。きっと羽菜ちゃんママも天国で喜んでると思うわ。」

おば様は満足そうに微笑んだ。

「長い人生ね。沢山の別れもあれば出会いもあるの。羽菜ちゃんには早い時期にとても辛い別れが訪れちゃったけど、その分、神様は羽菜ちゃんにとびきり素敵な出会いを用意してくれてたのね。きっと、櫻介は羽菜ちゃんの両親と同じくらい羽菜ちゃんのことを大切に思ってくれてると思うわ。
告白ってとても勇気がいることだけど、それを乗り越えたらまた新しい出会いが待ってるから。それが自分の子供だったりそこからの繋がりだったり様々だけど、きっと楽しい未来が待ってるわ」


「おば様、ありがとうございます。
少し勇気がわいてきました。」

「私達はいつでも二人を応援してるから頑張って」

おば様は優しく目を細めて言った。

その時、ガチャりとリビングの扉が開いて3人はビクッと肩を震わせた。

「櫻ちゃんっ!!」

そこにはスーツ姿の櫻介の姿があった。

「仕事終わったから、羽菜ちゃん迎えに来た」

櫻ちゃんは少し疲れた様子でズカズカと部屋に入ってくると「お寿司じゃん」とテーブルの上のお寿司を見つけて目を輝かせた。

そして、空いてるお皿に醤油を垂らしてマグロを一つ摘んでパクリとたいらげた。


おば様に「座って食べなさい!」と注意されるも「すぐ帰るからいい」と今度は玉子を手に取りパクリと口に含んだ。


この様子では先程の私達の会話は聞かれてはいないようだ。

私はほっと胸を撫で下ろす。