年下御曹司の箱入り家政婦

「きっと櫻介は羽菜ちゃんを悲しませることはしないよ。それだけは自信を持って約束できる。
だから、これからも櫻介のこと宜しく頼むよ。」


「はい...こちらこそ宜しくお願いします」

おじ様に向かって頭を下げると
ポトリと涙が自分の手の甲に落ちた。


「フフッ、櫻介の飛び上がって喜ぶ姿が目に浮かぶわ。長いこと片思いしてたんだから早く言ってあげて」

おば様が柔らかい笑みを浮かべながら
テーブルの上に置いてあるティッシュの箱を手に取り私に差し出した。

「あっ、はい. . .」

私は顔を強張ってくるのを感じながら、
おば様が差出してくれたティシュを2,3枚引き抜きぬいて涙を拭った。


「あらっ、浮かない顔してまだ何か気掛かりなことでもあるの?」
  

「気掛かりというか. . .
今までずっと櫻ちゃんのこと、弟のように接してきたから今更告白するの恥ずかしくて. . .どうしても言えないんです. . .」


「そうよね。羽菜ちゃん、ずっと櫻介のお姉さんしてたものね. . .でも、こればかりは
私達もどうにもできないし. . .」


おば様は少しの間、顎に手を当て考えていたが「あっ、そうだっ、ちょっと待っててね」
と言って駆け足でリビングから出て言ってしまった。

そして5分後、おば様は一冊のアルバムを手にリビングへと戻ってきた。


「これは羽菜ちゃんが思い出すと悲しませると思ってアルバムから抜いて置いた私達と羽菜ちゃんのご両親の思い出の写真よ。」

私はおば様からそのアルバムを受け取るとゆっくりとページをめくった。

そこには若かりし頃の私の父母とおじ様とおば様が写っていた。

「私達が出会ったのは大学の頃よ。
羽菜ちゃんのお母さんとは同じ学科で仲良くなって一緒に写真サークルに入ったの。
そこで、主人と羽菜ちゃんのパパとそれぞれ恋に落ちたのよ。本当にあの頃は毎日がキラキラしてて楽しかったわ。」

大学生くらいだろうか4人で旅行に行った時の写真が沢山写されていた。

「本当ですね。楽しそう。」

「まあ、でも若かったから色々と揉めることも多々あったわよ。それも含めて今では良い思い出よ」

父と母にも私や櫻ちゃんのような初々しい時代があったのだと想像して私はページを捲るごとに胸が踊った。