年下御曹司の箱入り家政婦

「許すも許さないも私達は
二人の交際に大歓迎だよ。 
それに羽菜ちゃんと櫻介を
引き合わせた時、いつかこんな日がくるんじゃないかと思っていたよ。」

おじ様は得意げな表情をしてみせた。

「すみません。なんだか、温かく迎えてくれたおじ様とおば様を裏切っているようなきもちになって. . .」

「羽菜ちゃん、どうか気に病まないで欲しい。私達は羽菜ちゃんと本当の家族になりたくて君を引き取ったんだ。
だけど、羽菜ちゃんは寂しさを隠してずっと私達の前では気丈に振る舞っていたよね。
羽菜ちゃんが一人で泣いていたことも気付いてたんだよ。
早く羽菜ちゃんが両親の死を受け入れて前に進むことを願いながら、どうにかしたくて私達も明るく振る舞ってはいたんだけど...」

おじ様は「不甲斐ないけど私達ではいくら頑張っても羽菜ちゃんの本当の笑顔を引き出すことは出来なかった。ただ手をこまねいて見守ることしか出来なかったんだ。」そう言って申し訳無さげに肩をすくめてみてた。

私はそんなことないと首を横に強く振る。


「でも、櫻介だけは諦めなかったんだ。
あいつは毎晩、あの手この手で羽菜ちゃんの部屋に押しかけては羽菜ちゃんが寂しくならないようにずっとそばを離れなかった。
羽菜ちゃんが寂しさから解放されるまでずっとね.. . 」

私は涙が込み上げてくるのを堪えて
コクコクと頷いた。

なんとなくそうじゃないかとは気づいていた。櫻ちゃんは私が勉強を教えなくても余裕で学年でも上位に入るだけの実力があることも。だけど私は敢えてそれに気づかないフリをしていたのだ。
きっと気づいてしまえばまた独りぼっちになってしまうような気がしてこわかった。
あの頃の私は私を姉のように慕ってくれる櫻ちゃんに甘えていたのだ。

「あいつ、しつこいだろ?」

おじ様の問いに私は「はい」と思わず
笑った瞬間、涙が溢れた。


「あいつは羽菜ちゃんのこととなるといつも必死だからな。我が息子ながらあのひたむきさには頭が上がらないよ」

おじ様はそう言って渋い顔をした。