年下御曹司の箱入り家政婦


会社に着くと更衣室に寄るという蘭と別れて僕は一人営業部へと向かった。

朝から色々なことが起こり
すでに徹夜明けのような疲れが
僕を押し寄せていた。

今日は厄日かもしれない.. .

僕ははあっと大きな溜息をついて、
営業部のドアを開ける。

フロアに入ると営業部長である叔父が
一人デスクで珈琲を飲んでいた。

朝っぱらから叔父と二人きりなんて
やはり厄日だ。

「おはようございます. . .」

なるべく関わりたくなくて
極力気配を消して席についた。

「櫻介!ロスの展示会まで
1週間きってんだぞ!!
予定通り進んでんだろうな!」

しかし、否が応でも叔父はグイグイと
関わってくる。

しかも、僕の低いテンションとは逆に
叔父は朝から頭の血管切れるのではないかと思うほどのハイテンションだ。

そんなの言われなくても分かってるし. . .

「予定通りに進んでるんで大丈夫ですよ。
今日は午後から商品開発の担当者とマーケティング戦略について最終の打ち合わせに入ります。」

天草家具は海外展開に向けて、
ロサンゼルスで展示会を
開くことになったのだ。
そこで僕が来週から1週間ほど
ロサンゼルスに行くことになっている。
正直、行きたくない。
それでなくてもライバルが増えた中で羽菜ちゃんと離れるなんて. . .
これからどんどんこういった長期出張は増えいくだろう。
未だ片思いのままで僕の不安は大きくなるばかりだ。


「俺の出世が掛かってんだから、
何がなんでも向こうのセレブ共に売って成果残してこい!!」

このオッサン、
どこまでエゴイストなんだよ(怒)
こんな叔父の為なんて逆にヤル気が損なわれてしまうんだけど。。

その時、僕のお尻のポケットに入れている
スマートフォンがブブッと振動した。


スマートフォンを取り出しメールを開くと
差出人は羽菜ちゃんだった。

えっ?!羽菜ちゃんっ?!

僕の底辺まで落ちたテンションが
一気に急上昇する。

“今日の夜は天草の家に行くから
夜は一人で済ませてね。”

しかし、その内容にテンションは再び急降下。

急に実家に帰るなんて、なんで?

もしかして、今朝のこと怒ってる. . .?

いつも通りの素っ気ない文章なのに
今朝の一件があったので心配なってくる。

あぁ、なんで羽菜ちゃんにあんな態度取っちゃったんだろう、、、。


僕は妻と喧嘩をして実家に帰られた夫のような気持ちに襲われ、一人デスクで頭を抱えた。