年下御曹司の箱入り家政婦

「えっ?!それって友達としてだよな??なっ!!」

俺は半ば蘭にそうさせるように言った。

「違うわ。
私、ちゃんと羽菜さんのこと愛してるの」

それをきっぱりと否定した蘭に
僕の開いた口が塞がらない。

「なっ?!
何を馬鹿なこと言ってるんだよ!!
羽菜ちゃんは女なんだぞっ!!」 

「それの何が問題なの?
まあ、でも今は日本では同性婚は認められてないけど海外では認められてきてるしそれも時間の問題でしょうし。」

「ど、どうせいこんって...?!」  

動揺して声がうわずる僕に
蘭はフフンっと余裕な笑みを浮かべる。

「冗談だろ??」

きっと僕をからかって楽しんでるだけだ。

いくら羽菜ちゃんが天使のように可愛いとはいえ、いきなり同性を好きになるなんてありえない。

そう思いたいが、
今まで羽菜ちゃんしか興味なかった僕は幼なじみとはいえ、蘭がどういった人間が未だに理解しきれない部分のほうが多いのだ。

「さあ、どうかしら。
冗談だと思いたいなら思ったら
いいんじゃない♪」

蘭は肯定とも否定とも取れる言い方で
僕の動揺を更に誘う。

「まじか...マジなのか. . . ?」

それでなくても新だけでも面倒なのに
ライバルがこれ以上増えるのは勘弁してほしい。
しかも、長年しつこく思われてきた蘭の場合
僕と同じ匂いがして余計やっかいだ。
それから放心状態で運転する俺は 
どうやって会社まで辿り着いたのか記憶にない。

そんな精神的に追い込まれた僕は
隣で蘭がほくそ笑んで
いたことに気づかないでいた。