年下御曹司の箱入り家政婦

それから、帰りたくないと斗真に泣きつかれ
僕の部屋に渋々ながら泊まらせることにした。

そして二人で遅くまでテレビゲームで対戦していたものだから朝寝過ごしてしまい、羽菜ちゃんの朝ご飯を食べ損ねるという大失態をしてしまう。

蘭に意地悪されてないか心配な僕は
羽菜ちゃんに様子をうかがうメールを度々送るも「こっちは大丈夫よ。それよりメールばっかり送ってないで仕事に集中しなさい」と説教の返信のみだ。

そして、その日の夜も接待で羽菜ちゃんの手料理を食べ逃したから、僕は完全なる羽菜ちゃん不足に陥っていた。

ようやく、羽菜ちゃんの手料理にありつけたのは次の日の朝だった。しかも、蘭というコブ付きだ。

「羽菜ちゃんのお味噌汁、今日も美味しいね」

僕が味噌汁を啜りながら、目の前の羽菜ちゃんに微笑みかける。

「それ、蘭ちゃんが作ったのよ。
昨日も一緒に料理作ったんだけどとてもセンスがあるからうちのお店にスカウトしたいくらいだわ」

羽菜ちゃんの言葉に隣の蘭は照れくさそうに
白ごはんをパクリと口に含んだ。

すでに蘭を“ちゃん”付けで呼ぶ羽菜ちゃんに
知らぬ間に二人の距離がかなり縮まっていると眉をひそめる。

“ちゃん”付けは僕の呼び名なのに. . .
女相手に嫉妬心が芽生える。


「そういえば、いつもよりしょっぱいかも」

僕の言葉に蘭にギロリとこちらを睨まれ
羽菜ちゃんには「こらっ」と叱られた。