年下御曹司の箱入り家政婦

僕と羽菜ちゃんが部屋に戻ると
床に倒れた蘭の隣で斗真がオドオドと
気が動転しているようだった。

蘭の額からは大量の赤い血が流れている。

「斗真、何があったんだ!?」

僕と羽菜ちゃんは急いで蘭に
駆け寄った。

「俺がトイレから戻ってきたら
蘭ちゃんがぼうっとした様子で
突っ立ってて声掛けようとしたら
急に倒れたんだ。
その時にどこかに額をぶつけたみたいで」

真っ青な顔で斗真が説明する。

「とにかく、止血しなきゃ。
櫻ちゃんはすぐに綺麗なタオル持ってきて!」

「わ、分かった!」

僕は急いでバスルームから使っていないタオルを持ってくるとそれを羽菜ちゃんに手渡した。

羽菜ちゃんは傷口の周囲を圧迫して止血し始めた。

その間、僕と斗真は固唾をのんでそれを見守る。

「取り敢えず、血は止まったけど、
櫻ちゃんの部屋は汚いから私の部屋に運びましょ」

羽菜ちゃんは僕の部屋を見渡して
ため息混じりに言った。

僕と斗真が担いで蘭を羽菜ちゃんの寝室まで
運び入れると羽菜ちゃんのベッドへ蘭を寝かせた。

そして、羽菜ちゃんに
着替えさせるから二人は出てと言われ
僕と斗真は寝室を出てリビングで待つ。