年下御曹司の箱入り家政婦

あ〜、本当こいつどうしよう...

こんなとこ羽菜ちゃんに見られたら
まずいし。

僕はソファーで眠り込んでいる蘭を
チラリと一瞥すると
額に手を当て大きく息を吐いた。



蘭と出会ったのは幼稚園で
あまり覚えてはいないけど
友達と一緒にいるところを
見たことはなく
いつも一人だったように思う。

かなり大きな会社の社長令嬢らしく
いつも高級車で送り迎えして
もらっていたのを覚えてる。

あの性格だから
いじめられているところを
見かけたことも何度かある。

僕はいじめや仲間はずれが
嫌いだから、見かけた時は
注意していたのだ。

もしかしたら、それがしつこく
好かれている原因か?

幼少期の正義感に溢れていた僕を恨む。

でもどうしたら、諦めてくれるのだろうか...


僕はもう一度ため息を漏らした。

すると、いきなり床に寝転んでいる僕に
何かが覆い被さってきた。

ぎょっとして下に目を向けると
蘭が僕の胸に顔を埋めていた。