年下御曹司の箱入り家政婦

蘭をソファーに寝かせる頃には
僕も斗真も汗びっしょりだった。

「まじでふざけんなよっ」

疲れ果てた僕はリビングの
床にドサッと寝転がって思わず叫んだ。

斗真は
「暑い、死ぬっ」 
と言いながらベランダの窓を開けると
ベランダで夜風に当たっている。

しかし、「うわっ」という悲鳴と共に
「大変だ!大変だ!」大慌てで部屋に駆け込んできた。

うるさいなっ、近所迷惑だろうがっ!!

大騒ぎしながら部屋に入ってくる斗真に
僕は煩わしげに眉をひそめた。

「櫻介、櫻介!大変なんだ!
非常扉が蹴破られてる!
きっと泥棒だ!!」

斗真は外を指さしながら
必死の形相で僕に訴えかけている。 

「ああ、それか。 
それは僕が開けたから気にすんな」 

僕は耳をつんざく斗真の声に
面倒くさくて説明をほとんど端折った。
普通のやつならここで何で開けたのか疑問に思って問いただすだろう。

「そうか。櫻介が開けたならいっか。」

脳みそが単純明快な斗真は何の引っ掛かりもなく、スルッと僕の説明を受け入れた。

「トイレ我慢していたんだった〜ちょっと、借りるな〜」

そして、斗真は走ってリビングを出るとトイレへと向かった。