年下御曹司の箱入り家政婦

「新からもらったの?」

櫻ちゃんは運転しながらも
低い声で問う。


「もらったっていうか、
ガラス館で作ったんだけど
こんな可愛らしいネックレスは
新さんの趣味じゃないからって」

私は必死に言い訳を口にする。

「結局もらったんだね」

しかし、櫻ちゃんは不機嫌に突っぱねるような言い方をして無言で運転を続ける。


「・・・・・・」

しばらくの間、無言の圧力が続いたのだが、ナビに視線を移してなにやら考えんでいた櫻ちゃんが突然口を開いた。

「予定変更、家に帰るまでに 
一つ寄って帰ろう。」

そう言って櫻ちゃんは
ナビとは逆の方向に車を走らせた。

「どこ行くの?」

私は櫻ちゃんに問うが
櫻ちゃんはチラリとこちらに視線をよこしただけですぐさま前に戻した。

どうやら教えてくれないらしい...

私は聞くのをやめて流れる景色を
見つめながら溜息をこぼした。

そして、20分ほど車を走らせると
きらびやかなジュエリーショップの
前で車は停められた。


「ほらっ、羽菜ちゃん、行くよ」


「えっ!ちょっと待って」


先々と店の中に入っていく
櫻ちゃんに私は急いでシートベルトを
外すと後を追った。