年下御曹司の箱入り家政婦

「櫻ちゃん、なんだか楽しそうね。」

羽菜ちゃんは
明らかに浮足立っている僕の顔を
覗き込みながら言った。


「そりゃあ、
羽菜ちゃんをやっとひとりじめできるし。
でも、羽菜ちゃんは僕がいなくても
たのしそうだったけど。」


「もう、またそんなこと言って。」


「お腹抱えて笑ってたし。」


「それは皆と飲んでお喋りするのが
楽しかったのは事実だけど、
だからといって櫻ちゃんといるのが
楽しくないわけじゃないわよ?」


「それは分かってるけど
僕といる時より楽しそうだし...
なんだかこのまま
羽菜ちゃんを取られちゃうみたいで
嫌なんだ。
羽菜ちゃんにとって僕って何?
まだ弟止まり?」


「う〜ん...
私にとって櫻ちゃんは...
そうね...
空気みたいな存在かな」


「いてもいなくても、
どうでもいいってこと?」

弟より残酷だよ

僕は真っ青に青褪めた。

「そうじゃなくて、
そばにいることが当たり前で、
いないと困るわ。
だって空気がないと死んじゃうもの。
櫻ちゃんは私にとって唯一無二の
存在なんだから。
櫻ちゃんの変わりなんてどこにもいない」

その言葉に僕は泣きそうになるのを
必死で堪える。

「だからそんな悲しいこと言わないで」

羽菜ちゃんは寂しそうに笑った。