年下御曹司の箱入り家政婦

宴会場に入ると
広々とした座敷には
座卓の上にすでに豪華な料理が
並べられていた。


「あっ、私の席はここね」
 
羽菜ちゃんはそう言って
座布団の上に腰を下ろした。

よく見ると、丁寧にも各席には
名前が書かれた札が置かれていた。

「私は羽菜さんの目の前だ!やった」

茜さんは嬉しそうに席についた。

僕はすでに決められている席に
一瞬ヒヤッとしたが、
羽菜ちゃんの右隣の席に自分の名前の書いた
札を見つけてホッと胸をなで下ろした。

旅館の人、気が利くなぁ。
まあ、赤い糸で結ばれてるから
必然的にこうなるんだよね。

僕は上機嫌で羽菜ちゃんの隣に
腰を下ろした。

「俺は櫻介の向かいの席か...」

そう言って僕の向かいに座る斗真は
確実に横目で隣の茜さんを意識している。

そして一生懸命、
手ぐしで髪を整えているのだが
茜さんはというと
「お腹すいたから早く食べたい」
と斗真に目もくれず目の前の料理に
心奪われていた。

望みは薄そうだが、
頑張って茜さんに話しかけろよ。

そしたら、僕が羽菜ちゃんを
独り占めできるんだから。

しかし、僕が喜んでるのも束の間
「お前ら、早いな」
いきなり後ろから不快な声が聞こえてきた。

「私達も今、来たばかりですよ」

羽菜ちゃんがそう言って見つめるその先には
やはり宿敵、新の姿があった。

僕の先程までの笑顔は一気に消え失せる。

「俺はてっきり食い意地はってんのか
とおもった」

そう言って新は意地悪に笑いながら
羽菜ちゃんの左隣に腰を下ろした。

んっ??

なんであいつ、当然のように
羽菜ちゃんの隣に座るんだよ(怒)

僕はハッと気づいて
羽菜ちゃんの左隣の席の札を見ると、
そこには新の名前があった。

旅館の人、なんて余計なことをぉーー!

僕は最悪な並びに頭を抱えた。