年下御曹司の箱入り家政婦

そうだ。

今は斗真の心配なんて
してる場合じゃない

宴会場では
羽菜ちゃんの隣の席は
絶対に死守しないと...


僕は宴会場に続く廊下を歩きながら
唇をかみしめた。

「櫻介くん待ってー」


すると、
後ろから茜さんの声が聞こえてきて
振り返った。


廊下の奥で浴衣姿の茜さんが
手を振っている。

そして、その隣に立つ羽菜ちゃんに
僕は視線を移した途端、
脳みそごとフリーズした。

そんな僕に二人はキョトンとした表情を向けている。

羽菜ちゃんは固まっている僕に
どんどん近づいてくる。
 
「櫻ちゃん、どうしたの?」

羽菜ちゃんは
僕の目の前で止まると
怪訝な表情で僕の顔を覗き込んだ。 

 なんて可愛いんだ///

髪をアップして浴衣姿の羽菜ちゃんは
湯上がりで白い肌が少しピンク色に上気していて色気が半端ない。


この可愛さ犯罪級だよっ

僕は心の中で叫んだ。


この姿を見れただけでも
ここに来た甲斐があったってもんだ

後でちゃんとこの浴衣姿を
写真におさめておかないと。

僕の心はウキウキと弾む。

しかし、幸せに浸っていたのも束の間、
ここに来ているのは
僕だけではないことを思い出す。

僕は羽菜ちゃんの肩を両手でガシっと
掴んだ。

「羽菜ちゃん、部屋着はどうしたの!?」


「えっ?浴衣あると思って
荷物になるから持ってきてないけど...」


「なんで持ってきてないのっ!!」

僕は焦りの混じった声で
羽菜ちゃんを責め立てる。