年下御曹司の箱入り家政婦

「なんで新にそんなこと教えなきゃ」

なんだよ?
敵情視察か?
んなもの、教えてやるか。

「忘れたのか?
お前は俺に一つ貸しがあるんだ。
これは交換条件だ。
俺の質問に答えたくないなら、今すぐ家に
帰るんだな。」

そこを付かれると今の僕は
選択肢が一つしか選べない。

「ずるいやつだな。
そんなの羽菜ちゃんに聞けば言いだろ?」

僕はあからさまに煩わしげな態度を向ける。

「夢島は聞いても自分のことを
ベラベラ話すを嫌がるからな。」


「...9年だよ。
僕が中学三年のとき羽菜ちゃんの両親が
事故で亡くなって
僕の両親が引き取ったんだ。」

「9年...
それからずっと一緒に暮らしてるのか?」

僕の答えに新は眉をひそめた。

「そう。
僕と羽菜ちゃんには
9年もの長い歴史があるんだ。
新の入り込む隙間はない。
諦めたか?」

「まさか。
それだけ長い間、
一緒にいて何も進展ないなら
俺にも望みはあるだろ。」

こいつ(怒)
いちいち癪に障ることを言いやがって...

「お前に望みなんてない。
それに進展だってしてるんだからな!」

そうだ。嫉妬だってしてくれたし
キスだってしてくれた(頬だけど)

「まあ、俺たちがどうこう言い争っても
決めるのは夢島だ。
夢島がお前を選ぶと言うなら
俺も黙って身を引くよ。
でも、それまでは俺は俺で
頑張らせてもらう。」

「そう。
羽菜ちゃんが新を選ぶことはないけどね。」

僕は余裕があるように振る舞う。

「すごい自信だな」

「まあね...」

僕がそう答えると新はフッと笑った。

くそぅ〜、絶対こいつ僕が余裕がないことを
見抜いてやがる