年下御曹司の箱入り家政婦

「は、はじめまして!
紹介されました、八嶋斗真です!」

いきなり紹介されたにも関わらず
満更でもない斗真くんは茜ちゃんの前で
後頭部に手を当て照れくさそうにしている。

しかし、
「あっ、すみません、、
私、面食いなんです」
茜ちゃんはそれにキッパリと
NOを突き付けた。

チーーーーン.....

可哀想に斗真くんは
ガックリと肩を落している。

ごめんね、斗真くん...
勝手に櫻ちゃんが巻き込んで..

私は放心状態の斗真くんに
心の中で謝罪する。

「ちょっと羽菜ちゃん、
話は終わってないよっ」

そう言って櫻ちゃんは私の肩に手を置いて
グイッと自分の方に振り向かせた。

そして、
櫻ちゃんは私の目線の高さまで
腰を落とすと

「羽菜ちゃん、こんなやつと一緒の旅館なんて危険だよ。
今日は俺たちの取ったホテルに泊まろう?」

まるで子どもに言い聞かせるように話す。

「嫌よっ、茜ちゃんと一緒に温泉はいるんだから。」

私は怒ったようにそっぽを向く。

櫻ちゃんは困ったように大きく息を吐いた。



すると、
顎に指を当て先程から
黙り込んでいた新さんが
「じゃあ、お前も泊まっていけば?」
と、いきなり突拍子もないことを提案した。

「えっ!?」

私はビックリして新さんの方を
振り返る。

「はっ?」

櫻ちゃんもライバルの不可解な提案に
怪訝な表情を浮かべている。

「別にお前の為じゃない。
夢島を連れて帰られたら困るから。
多分、この土日に空いてる部屋なんてないだろうし、旅館に頼んで俺の予約してる和室に入れてやるよ。
布団敷き詰めれば寝れないことないだろ?
オカマと同室で嫌だったからちょうどいい。その代わり追加の宿泊代は自分達で出せよ?」


新さんの提案に櫻ちゃんはう〜ん..と
渋い顔をしている。
 
新さん、なんて恐ろしい提案をっ。
櫻ちゃんが私達と一緒に泊まるなんて、
面倒くさいことになるのは
目に見えてるじゃない!

私は迷っている櫻ちゃんに
諦めて帰るようにと祈るよう見つめる。