年下御曹司の箱入り家政婦

それから私と茜ちゃんは二人で
数々のガラス細工を見て回った。

すると、小さな柴犬のガラス細工で出来た
置物が目に入り手に取った。

「フフッ...櫻ちゃんだ...」

私は尻尾を立ててこちらを見つめる姿が
櫻ちゃんと重なって思わず目を細める。

1000円か...

私は値札を見て少し考えると
それを手にレジへと向かった。


「いらっしゃいませ。」

女性の店員さんが愛想よくこちらに向かって
お辞儀をしていた。

「お会計は1000円になります」


バーコードを読み取った店員さんは
そう言って私がお金を出すのを
笑顔を向けて待つ。


私はガサゴソとバッグの中を漁って
財布を取り出した。

その間もレジカウンターに置かれた
ワンちゃんはこちらを見つめながら
お利口に待っているように見える。


でも、うちの犬は待てが
できないんだけどね...


私は財布からお札を出しながら思わず
「フフッ」と笑ってしまい
店員さんに変な顔をされてしまう。

「おっ、お願いします..」
とお札を差出しながら
愛想笑いに切り替えてなんとか
その場を誤魔化した。

ああ、恥ずかしかった...


会計を終わらせた私は赤く染まった頬に
両手を添えてトボトボと歩く。

すると急に後ろからフワッと手が伸びてきて
私はビクッと体を震わせた。

そして胸元に重みを感じて
下を見ると私の胸元には
海のような水色のガラスだまの
ネックレスがかけられていた。

窓からの光でガラス玉は
キラキラとまるで水面のように
煌めいていた。

「それ夢島にやるよ」

後ろから声がして振り返ると
新さんがこちらを見下ろして微笑む。

「あそこで、作ったんだ」

新さんが親指でクイクイと指す方を見ると
色々な種類のガラス玉を選んで作る
アクセサリーコーナーがあった。

「あっ、でも...」

私が困った表情を浮かべていると
「俺がそんなのつけててもおかしいだろ?」
新さんはわざと顔をしかめて呟いた。

新さんがこれを付けたところを
想像して思わず笑ってしまう。