年下御曹司の箱入り家政婦

それから、私達を乗せたバスは
動物園へとたどり着いた。

「動物園なんて子どもじゃないんだから
オーナーも、もうちょっとマシな日程を考えて欲しいわよね。」

関さんは扇子で扇ぎながら
ブツブツと不満をたらす。


「えー、動物園楽しいじゃないですか!
ねぇ?羽菜さん?」

茜ちゃんが私の服の袖を引っ張って
同意を求める。

「うん。私も動物園久しぶりだから
楽しみだよ!!
あっ!茜ちゃん白熊だよ!!」

私は水の中を泳ぐ白熊の水槽に駆け寄ると
その巨体に思わず目を輝かせた。

「うわー、ほんとだ♪
白熊ってこんなに大きかったですね。
普通の熊よりやっぱり白いからカッコいい」

茜ちゃんはまるで小学生のように
水槽にへばりついて真剣に眺めている。

そこへ腕を組んだ新さんが
私達の隣に立つと口を開いた。

「白熊の毛が白いのは
雪や氷で覆われている北極圏で
敵から身を隠すための保護色なんだ。
それに白熊の毛は中が空洞になってて
熱を逃がさないから保温効果もある。
寒い北極圏で生き残るために
筋肉だけでなく脂肪も沢山蓄えてるから
普通の熊よりも大きいんだ。」

「「へぇ~」」

私達は感心したように頷いた。

「丸々太ってるから
料理したら美味しそうよね」

関さんが不謹慎にも白熊を見て
舌舐めずりをする。


「肉は食べれるけど
白熊の肝臓はビタミンAが豊富で
人間が食べたら過剰摂取で死ぬらしいぞ。
まあ、いい機会だ。関に食べさせて本当かどうか確かめてみよう。」

私達が新さんの言葉に思わず吹き出すと
「キー、何よ!
この無駄に雑学王なんだから」
関さんは憤慨したように怒りだした。


「関も感心したように聞いてたんだから
無駄じゃないだろ?
ほら、次行くぞ。」

新さんは取り合わないと言ったように
先に足を進めた。