年下御曹司の箱入り家政婦

それから私は急いで旅行支度を終わらせると
集合場所であるお店の前へと向かった。

店の前に着くと既に皆、
バスに乗り込んでいた。

「羽菜さ~ん、早くー!!
あと羽菜さんだけですよー!!」

茜ちゃんがバスの窓を開けて
手をこまねいている。

うわ~、10分も遅刻してる(汗)

私は腕時計の時刻に顔を青くした。

私は気持ちを落ち着かすように
大きく深呼吸をすると
バスに乗り込んだ。

「お待たせしてすみません!!」

既に座っている皆に謝罪しながら
茜ちゃんの席までいくと
その隣に腰を下ろした。


「羽菜さんが遅れるなんて珍しいですよね?
いつも仕事場には15分以上前には来てるのに。」

茜ちゃんは不思議そうな顔で問いかける。


櫻ちゃんの女性並みの勘の鋭さを恐れて
旅行バックに荷物を詰めておくことが
できなかったなんて言えるわけがない。

「色々と事情がありまして...」

私は説明に困って曖昧に答えた。

「羽菜ちゃん、きっとあれでしょ?
昨日の夜、ワクワクして眠れなくて
寝坊しちゃったのよね?」

関さんが後ろの席から覗きこんできた。

「ハハハっ...そんなとこです...」

小学生じゃないんだからと思いながらも
私は否定せず苦笑いした。

「連絡してくれれば車で迎えに行ったのに」

関さんの隣に座る新さんが呟く。

「いえ、そこまでしてもらうわけには...」

新さんと櫻ちゃんが鉢合わせでもしたら
それこそ偉い騒ぎになる...

私は悪寒が走り、思わず身震いした。

後ろの席では「優しい~」と
新さんの腕をツンツンとつついて、
からかう関さん。

「俺をからかうとはいい度胸だ、おかま」

新さんは日程表を筒状に丸めると
関さんのポカポカ頭を容赦なく叩く。

ギャーギャーと騒がしい後ろの席に
私と茜ちゃんは顔を見合わせて笑う。

そして、そんな私達を乗せたバスは
目的地に向けて走り出した。