それから僕がケーキを食べ終えると
羽菜ちゃんは空いたお皿を洗い始める。

早く片付け、終わらないかな...

僕はその様子をソファーから眺めながら
首を長くして待っていた。

そして、片付けを終えた羽菜ちゃんが
ソファーに座るや否や
僕はゴロンと羽菜ちゃんの膝を枕にして寝転んだ。

「羽菜ちゃん、
なんかさっきから耳の中が
ガサガサ音がするから
耳掃除して」

僕はそう言って綿棒を差し出しす。

羽菜ちゃんは「この間、耳掃除したばかりじゃない?」と言いながらも
綿棒を手に取ると僕の耳の中を覗き込んだ。

ここは僕の特等席なのだ。
昔から甘えたいときは耳掃除を口実に、
膝枕をしてもらっている。
羽菜ちゃんの膝枕は気持ち良くて
いつも寝落ちしてしまいそうになるほどだ。

僕は思わず羽菜ちゃんの太ももにスリスリと頬を擦り付けると
「ちょっとジッとしててよ」と羽菜ちゃんに怒られる。

それから少しの間、僕の耳の中を覗いていた羽菜ちゃんだったが
「ゴミなんて見当たらないわよ?」
と、(いぶか)しげに呟いた。

そりゃそうだ。
先週、耳掃除をしてもらったばかりだし
ガサガサなんて音はしていないのだから。

僕はそのまま寝たふりを決め込んだ。