年下御曹司の箱入り家政婦

そして僕はマンションに着くと
帰りがけに買ったお詫びのケーキを手に
ベランダから羽菜ちゃんの部屋へと向かった。

羽菜ちゃんの部屋はカーテンで閉じられて
部屋の中が見えない状態ではあったが
心なしかぴりついた空気が漂っていた。

僕は意を決して窓ガラスをコツコツとノックした。

すると、少し経って羽菜ちゃんの手によって
カーテンが開かれる。

そして羽菜ちゃんは僕に冷たい視線を向けると、カチャッと
窓のカギだけを開けて再び部屋の奥へと入っていった。

これは相当怒っているな...

僕はゴクリと緊張を飲み込む。

僕と違って羽菜ちゃんは人前でイチャイチャすることを
極端に嫌っている節がある。

それなのに僕が皆のいる前でキスなんてしたものだから
相当逆鱗に触れてしまったに違いない。

僕は恐る恐る窓ガラスを開けると

「ただいま~...」

恐縮した声で部屋の中へと足を踏み入れた。

しかしいつもの羽菜ちゃんからの
“お帰りなさい”の歓迎はない。

そして僕の存在が目に入っていないように
無言のまま、料理支度をしている。

「羽菜ちゃんの好きなイチゴのショートケーキ買ってきたよ...」

僕はなんとか怒りを鎮めようと
控えめな態度でケーキの箱をテーブルの上に差し出した。

「それはどうもありがと」

羽菜ちゃんは抑揚のない口調でお礼を言う。

「ど、どういたしまして...」

会話終了・・・・・(沈)

僕は冷や汗混じりに
ダイニングの椅子に
そっと腰を下ろした。