年下御曹司の箱入り家政婦

それから、櫻ちゃんが注文した料理を運んでこいと言うのではないかとヒヤヒヤしていたが、そんな我が儘を言うこともなくオーナーが料理を運んでくれたようだ。

あんなに強く手を振り払ったというのに
恐いくらい大人しい櫻ちゃんに
引っ掛かりを感じながらも内心ホッとした。

きっと帰ったら
櫻ちゃんから詰問責めに合うのだろうとは
思うだけれど今は大人しくしていてほしい。

心に余裕がなくてまた皆の前で取り乱して
しまいそうで恐い。

あぁ、でも帰ったらなんて説明しよう...

蘭さんと仲良さげにしていただけで
苛立ったなんて子どもみたいなこと
言えるわけがない。

今まで姉として櫻ちゃんに接してきたから
甘えられることは多々あっても
自分から甘えたり
弱音を吐くことはなかった。

恥ずかしくて本音なんて言えないよぅ...

わたしは途方に暮れて無気力に息を吐いた。


そこに再びオーナーが顔を出す。

「羽菜ちゃんのお友達帰るみたいだから、
折角だから代わりにお会計頼めるかな?
私は休憩に入るから後は宜しくね♪」

オーナーは要らぬ気を利かせて
裏口から隣接する自分の家へと
帰って行った。

あぁ、オーナー。
そんな気遣いしないでほしい...

私は眉根を寄せて困惑に
その場に立ちすくむ。

「俺が代わりに会計してくるか?」

私の浮かない表情に気づいて
新さんが私の肩にポンッと手を置いて言った。

「いえ、大丈夫です。
このままオーナーが休憩終わるまで
ホールの応援に入るので厨房
宜しくお願いします。」

私は心配かけまいと余裕の笑みを浮かべると
ペコリと頭を下げた。