私の問いに蘭さんはキッと鋭い目をこちらに向けた。
うわぁ、私、この子にめちゃくちゃ嫌われてるな...
敵意むき出しのその眼差しが
全てを物語っている。
「メニュー見たけど
食べたいものがないから
櫻介と同じものでいいわ。」
彼女は投げやりな態度で
私を逆撫でするような言葉を口にする。
あぁ、やっぱり彼女は櫻ちゃんを好きなのね...
それは嫉妬心からきているものだと分かって
私は困ったように力なく笑った。
「蘭!!
それは作ってる人に対して失礼だ」
蘭さんは櫻ちゃんに咎められて
さらに不機嫌にそっぽを向く
「羽菜ちゃん、ごめん。
こいつ昔からこんな性格だから
気にしないで」
櫻ちゃんは申し訳なさげに言った。
昔からの知り合いだったんだ...
コイツなんてまるで自分のものみたいに...
私の胸に再びチクリと棘が刺さった。
「櫻ちゃん、別に気にしてないから、
大丈夫よ」
私はそう微笑みながらも表情が曇る。
「羽菜ちゃん...?」
私の沈んだ表情を見逃さない櫻ちゃんは
心配そうに顔を覗き込んでくる。
「じゃあ、私は仕事に戻るから...」
私は動揺を悟られまいと
ニコリと微笑んで気丈に振る舞った。
そして、その場を離れようとするが
「待って」
と私の違和感を見逃さない櫻ちゃんに
腕を捕まれてしまう。
「羽菜ちゃん、何か変だよ?
どうしたの?」
櫻ちゃんの私を掴む手に力がこもる。
こちらを見つめる櫻ちゃんに
自分の心を見透かされそうで恐い。
「何でもないったら」
私はその手を思い切り振り払うと
足早にその場から立ち去った。



