出社する櫻介を見送った後、
私は早々と掃除をすませ電車を乗り継ぎ
ある場所へと向かっていた。
着いた先は都会の一角にある
まるでそこだけジブリの世界に迷いこんだような緑に囲まれたカフェテリアだ。
木目調の扉を開けると
「いらっしゃい、羽菜ちゃん早かったね」
と整えられた白髭を生やしたオーナーが柔らかい笑顔で出迎えてくれた。
アンティーク調の壁掛け時計を見ると
まだ9時15分を指していた。
「すみません、なんだかいてもたってもいられなくて...」
約束よりも一時間近く早く着いてしまったことに自分でも苦笑いする
「いやいや、早い分には構わないよ。
さっ、そんなところに立ってないで
座って座って!」
カウンター席に座るように即された私は
ペコリと一礼すると指定された椅子に腰を下ろした。
「飲み物は何にするかな?」
「いえいえ、おきづかいなく...」
「ハハッ、そんな畏まらなくても
これから長い付き合いになるんだから
遠慮しないで!」
「じゃあ...ホット珈琲を...」
「珈琲だね!OK!」
オーナーは慣れた手付きで珈琲を入れると
「お待たせ」と私の前にそっとカップを置いた。
私は「いただきます」と言ってカップに口づける。
大学時代から通い慣れた場所なのに
今日は少し緊張する。
「それとこれが契約書だよ。」
オーナーは緊張した私を見てハハッと笑いながら書類を差し出した。
私は「有り難うごさいます」と書類を受け取ると緊張感とワクワク感で胸がいっぱいになった。
このカフェは人気のパンケーキ専門店で
私の通っていた大学からも近く度々友達と食べにきていたのだ。
オーナーは緑が好きなのか、店の外も店内も花や草木がいっぱいで都会とは思えないほど癒される空間になっている。
そしてなによりここのパンケーキはとにかくふわふわで、ナイフをいれると崩れてしまいそうなほどで口に入れるととろけるほど美味しいだ。
種類も豊富で毎回くる度にどれにしようか迷ってしまう。しかし、どれを食べても外れなしの美味しさに私も友達もこの店のファンだった。
小さな頃から甘いものが大好きでパティシエに憧れていた私はこの店に訪れるたびにこんなお店で働けたらなと思っていたのだ。
それが、櫻ちゃんの卒業が決まり久々にこの店に寄ったときにオーナーから雇っていたパティシエが結婚退職をすることになり
正社員を募集していることを聞いたのだ。
私は思わず「それなら私を雇ってください」
と厚かましくも口走ってしまったわけだ。
初めはオーナーもびっくりしていたが、私が昔からパティシエに憧れていたこと調理師免許も持っていることを話すと快くOKしてくれたのだった。
私は早々と掃除をすませ電車を乗り継ぎ
ある場所へと向かっていた。
着いた先は都会の一角にある
まるでそこだけジブリの世界に迷いこんだような緑に囲まれたカフェテリアだ。
木目調の扉を開けると
「いらっしゃい、羽菜ちゃん早かったね」
と整えられた白髭を生やしたオーナーが柔らかい笑顔で出迎えてくれた。
アンティーク調の壁掛け時計を見ると
まだ9時15分を指していた。
「すみません、なんだかいてもたってもいられなくて...」
約束よりも一時間近く早く着いてしまったことに自分でも苦笑いする
「いやいや、早い分には構わないよ。
さっ、そんなところに立ってないで
座って座って!」
カウンター席に座るように即された私は
ペコリと一礼すると指定された椅子に腰を下ろした。
「飲み物は何にするかな?」
「いえいえ、おきづかいなく...」
「ハハッ、そんな畏まらなくても
これから長い付き合いになるんだから
遠慮しないで!」
「じゃあ...ホット珈琲を...」
「珈琲だね!OK!」
オーナーは慣れた手付きで珈琲を入れると
「お待たせ」と私の前にそっとカップを置いた。
私は「いただきます」と言ってカップに口づける。
大学時代から通い慣れた場所なのに
今日は少し緊張する。
「それとこれが契約書だよ。」
オーナーは緊張した私を見てハハッと笑いながら書類を差し出した。
私は「有り難うごさいます」と書類を受け取ると緊張感とワクワク感で胸がいっぱいになった。
このカフェは人気のパンケーキ専門店で
私の通っていた大学からも近く度々友達と食べにきていたのだ。
オーナーは緑が好きなのか、店の外も店内も花や草木がいっぱいで都会とは思えないほど癒される空間になっている。
そしてなによりここのパンケーキはとにかくふわふわで、ナイフをいれると崩れてしまいそうなほどで口に入れるととろけるほど美味しいだ。
種類も豊富で毎回くる度にどれにしようか迷ってしまう。しかし、どれを食べても外れなしの美味しさに私も友達もこの店のファンだった。
小さな頃から甘いものが大好きでパティシエに憧れていた私はこの店に訪れるたびにこんなお店で働けたらなと思っていたのだ。
それが、櫻ちゃんの卒業が決まり久々にこの店に寄ったときにオーナーから雇っていたパティシエが結婚退職をすることになり
正社員を募集していることを聞いたのだ。
私は思わず「それなら私を雇ってください」
と厚かましくも口走ってしまったわけだ。
初めはオーナーもびっくりしていたが、私が昔からパティシエに憧れていたこと調理師免許も持っていることを話すと快くOKしてくれたのだった。



