ここ、って。



「狭いよな、やっぱ。背中いてぇし」



そういえば翔太の実家の部屋だったと思ったら一瞬にして視界から翔太が消えた。同時に背中に痛みが走って今度こそ眼が覚めた。



「大丈夫か」

「大丈夫じゃない」



シングルベッドで2人寝るのは狭いわ。
男が居るなら尚更。


起き上がってぺたんと床に座れば腕が伸びてきてベッドの上に持ち上げられる。そして、あたしの一番になってしまった翔太の腕の中。



「でも、凄く近いからいいわ」

「あ?」

「ううん、こっちのこと。今日はどうするの」

「あー、デザインでも書こうかと思ってる。しばらくはこっちに泊まるんだろ?」

「それって絶対?」

「いや、どうした?」

「ねえ、もうちょっとこのままで居たいわ」



怒涛の日々が過ぎたのだから。

手を伸ばせばいつでも温もりを求められるって、実感していたいの。


これからは毎朝起きて、居るかどうかを不安に思わないように。





END