何それ。



「どういう顔よ」

「どういう顔?こういう顔だよ」

「ばかね、……ばかよ、翔太」

「俺はいつだって…………」



その言葉の続きが聴きたいのに。
耳を澄まして、言葉を待つ。いくらでも待つつもりだったのに。

あたしと目があって、ふいっと逸らすと。



「あっち、帰るか。おじさんにも挨拶しねぇと」



待っていたのを分かってるくせに、言葉をくれない。
いじわる。

音に乗せずに、形だけ伝えた。
それに対して困った顔して、眉を下げただけだったけど。

翔太の参ってる顔なんて中々見えるものじゃない。



このまま答えを言わなければ翔太はずっとこのままなのかしら。