その手を退けたとき、翔太はあたしとから顔ごと反らしていた。

だけど悩みなんか吹き飛んで、翔太が足りない今のあたしにはそれすら逆効果で、反らされた首筋のラインさえ綺麗だった。

顔も体つきも、どこをとっても綺麗な男が翔太なんだわ。



「で、どうだったんだよ」



見られて恥ずかしくなったのか、暑いと言ったはずなのにTシャツを着込んだ翔太は話題を振ってきた。
最初、何の話題なのかさっぱりわからなくてきょとんと翔太を見てしまった。
さっきまで、悩んでいたはずなのに。


その顔腹立つ、と零すと鼻を摘んで引っ張られる。



「痛い、痛い痛いってば」

「休みっつってんだろ?頭働かせ」



挑むような鋭い眼付きに怯む。
久しぶりに見た。怖がる必要なんてどこにもないけれど、無意識下で反応してしまう。

話が理解出来てもすぐには反応できず、少し身を反らして口をつぐんでしまった。