実は、今朝早く明日鷹先生から電話があって、『大人げない態度をとって申し訳なかった』と謝られた。
私も『私が悪かったんです』と謝った。
朝一番で、紗花と唯ちゃん達にも謝罪に行ったと聞いた。
そういうところが明日鷹先生らしい。

トントン。
「どうぞ」
中に入ると、疲れた顔の明日鷹先生がいた。

「部長と話しました」
「そう」
「このまま、先生の下で勉強したいです」

「それでいいの?」
普段はなかなか見れない弱気な表情。

「はい」
私ははっきりと答えた。

その時、
ブー ブブー
明日鷹先生のスマホが震えた。

チラッと着信を見て、それでも出る気はなさそう。

「出なくていいんですか?」
思わずたずねた私に、
「友達だよ。この前一緒にお昼を食べたでしょう?」
「ああ、綺麗な人」
「幼馴染なんだ」
へー。

ブー ブブー
再び着信。

「私、仕事に戻ります。電話に出て下さい」

私はそのまま医局を後にした。


後ろの方から
「どうした有香?」
明日鷹先生の声が聞こえていた。