やはり、啓介は麻薬の紛失に関わっていた。
ストレスとプレッシャーから薬に手を出したらしい。
私が病院へ搬送される間に、警察へ連行され、その後どこかの施設に送られたと聞いた。

一方、私の傷は1ヶ月ほどで全快の見込み。
しかし、3月までの休養を申し渡された。
体のいい謹慎だ。

警察の聴取も受けた。
何度も家に来て、事件に関わっていたのではないかと聞かれた。
事件そのものは大学と病院が手を回し、表沙汰になることはなかった。

そして、
あれから2日と空けず、紗花と明日鷹先生はやってくる。
きっと忙しいだろうに、そう思うと申し訳ない。
母さんも事件については何も言わない。

「桜子。明日鷹先生よ」
母さんの声がして、階段を登る足音。

ドアが開いて、
「どう?変わりない?」
いつもの笑顔。

「大丈夫です。暇してます」
事件からすでに1ヶ月あまり、私は1歩も家を出ることなく過ごしている。