東京タワーにつくと、既に神無月さんの姿が……。


「神無月さん!!!!」

「おぉ、相馬。中々お前耐え性だから、てっきり袋のこと忘れてると思ったよ」


そう言ってからかうように笑ってみせると
俺を抱き締める。


久しぶりの神無月さんのぬくもり


ずっと感じていたかったけど、彼はすぐに離れた。


「実は、お前にどうしても言っておきたい事があってな」


珍しく真剣な顔の神無月さんに
ついつい身構えてしまう。


 




「相馬……こうみえてもすげぇ寂しがりやでよ。誰かが側に居てほしいときがあるんだよ、分かるか?」

「分かり……ます」

「だからよ。側に居てくれねぇか、これからの人生俺と一緒に」


それって……つまりと戸惑う俺を
優しく抱きしめ耳元で囁いた。


「一緒にならねぇ?」





涙が出た、信じられない。


あの自由奔放な神無月さんが? 


俺なんかと。



「ふ………っ!神無月さん…………っ!」


泣きじゃぐる俺の髪を優しく撫でる。 


「なぁ、相馬………返事は?」


不安そうな顔で問い掛ける………。


可愛いとか思ってしまったのは秘密。 


「いいに決まってんだろ……………っ!」



そしたら涙を拭っている手をとり
彼はその手を強く握った。 


「もう離さねぇからな」


その時の神無月さんの表情は
酷く印象的で今でも覚えている。 


優しく、そしてどこか少年のような無邪気さを思わせる笑顔だった。 





(この手を離さないで。いや、離したがっても離さねぇ。だって俺が守っていくんだから)