わたし、そして大河たち中学3年生の引退をかけた夏の大会――。


わたしたちは、決勝戦の舞台の上に立っていた。



9回の裏、ツーアウト。

あとアウト1つで勝利という目前のところで、先攻で守備の青城中学は満塁の大ピンチ。


点数は、わずかに1点差。


ヒットが出れば、同点…。

いや、サヨナラだってありえる。


だれもが固唾を呑む。


まさか、こんな展開になるとは思っていなかった。


なぜなら、1回から登板していたピッチャーである大河は、それまで無失点で抑え、青城中学は5回までに4点差をリードしていた。


しかし、中盤の5回裏。

初戦から投げ続けていた大河だったが、ここにきてその疲れが出たのが、腕の痙攣を訴えた。


手が痺れて、コントロールがうまくできないと。


そこで、大河は途中降板。