ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ

莉子もそうだ。

いつもよりも口数が少ない。


俺たちの間に、微妙な空気が流れる。

その雰囲気をなんとなく察したのだろうか――。


「お前ら、ケンカでもした?」


悠が、そんなことを聞いてきた。


「…いや、べつにっ」 

「そうだよ…?フツーだよ?」


俺と莉子は、悠にそう言ってみせる。


悠になにか悟られるのも困るし、なるべく莉子とは普通に接するように心がけた。


だから、それから数日たてば、徐々に莉子とのわだかまりはなくなっていった。



「ねぇねぇ、大河ー?」


いつものように莉子が話しかけてくる。


「なんや?」

「ここ、教えてほしいんだけど」


莉子が数学の教科書を持ってきて、俺の隣の席に座る。


こんなの、今までもよくあること。

たったそれだけのこと。