ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ

ドアから顔を覗かせたのは、悠だった。

わたしたちは、とっさに距離を取る。


「そっ…それがさ〜!大河がビー玉踏んづけて、1人で派手に転けちゃって!」

「ああ〜。その音?」

「「…そうそうっ!」」


わたしと大河は、いっしょに首を縦に振った。


なんで悠に説明するのに、こんなに焦っているのかはわからなかった。



その日の夜。

いつもならすぐに寝つけるのに、なんだかなかなか眠れなかった。


『いっ…今の、なに…!?』

『…か!勘違いすんなよ!あれは、ただの不可抗力やし!』


目をつむったら、あのときのことが思い出される。


わたしもなに大河に押し倒されて、赤くなってたんだろうっ。

相手は、恋人が野球って言うほどの、野球バカなのに。


…ほんとに、ありえない!


そんなふうに怒っていたら、いつの間にか眠ってしまっていたのだった。