ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ

気まずそうに、大河は視線を逸らす。


「去年だって、3回戦敗退やん。やから、優勝なんてそうそうできるものじゃ――」


今日の夏の大会での優勝は、終わりではなく始まりにすぎない。

本当の闘いはこれからだっていうのに、どこか弱腰の大河。


「できるよっ。大河なら」


そんな大河に、わたしは自信満々に言ってやった。


「だって、これがあるからっ」


そう言って、わたしはバッグからあるものを取り出した。

そして、それを俺の手のひらに差し出す。


「…これ」


ぽつりとつぶやいて、視線を移す大河。


その視線の先には、赤と黄色の紐で編み込まれたミサンガがあった。


この色のミサンガは、中3の引退試合前にわたしが大河に作って渡したものと同じだった。


「今度は、『甲子園優勝できますように』って、お願いしておいたからっ」