もしかして、これは…ホームラン!?


一瞬、そう思うほどの長打だった。


――しかし。

そのボールが落ちた先は、外野のグローブの中だった。



歓喜にわく相手チーム。

明光学園は、あと一歩のところで甲子園出場を逃した。


大河の明光学園での初めての夏が終わった瞬間だった。



結果は負けてしまったけど、終盤の巻き返しはすごかった。

それに、試合終了後の3年生たちは、目に涙を浮かべながらも、その表情はどこか清々しかった。


全力でプレーができたからに違いない。


――だけど。

きっと大河は、1人で責任を感じている。


…わたしにはわかる。


自分が投げた球で、3ランホームランさえ打たれなければ…。


そう思っているはずだ。


そんな大河のことを考えたら、わたしは居ても立っても居られなかった。