悠の言葉が胸に刺さる。


俺は、莉子のことをだれよりも知っていると思っていた。


でも実際は、莉子が悩んで苦しんでいることにも気づけず、その原因がなになのかもわかっていなかった…。


「大河はレギュラーで、オレは応援。…野球では負けたと思ってる」

「悠…。そんなんで、勝ち負けなんか――」

「お前がなんとも思ってへんくても、オレはそうやと思ってる…!やから、莉子のことだけは…もう負けたくないっ」


悠は鋭い目つきでそう言うと、俺に背中を向けて行ってしまった…。



明日は、いよいよ甲子園出場をかけた決勝戦。

コンディションは抜群。


――のはずだったのだが。


『オレ、莉子に告白したから』

『莉子のことだけは…もう負けたくないっ』

『…彼氏として失格やで』


悠の言葉に、動揺している自分がいた。