俺がここで抑えないと、逆転されるかもしれない。


しかし、なぜか気持ちは軽かった。


「大河、がんばれー!」


どこからか、莉子が応援してくれている声がしたような気がした。


応援席を見渡したが、到底見つけられるはずもない。

それに、そもそも応援にきてくれているとも限らない。


でも莉子なら、たとえぎくしゃくした仲だったとしても、直接ここへきていなかったとしても、きっとどこかで応援してくれているはずだ。


そう思ったら、俺ならこの場をなんとか乗り切れそうな気がした。



その結果、その回を無失点で抑えることができ、この試合も明光学園が勝利した。


その次の試合も勝利し、残るは準決勝と決勝のみだ。


あと2回勝てば、夢の甲子園。


物心ついたときから、親といっしょに高校野球を観戦し、高校球児に憧れを抱いた。