何度もそう伝えたかった。

 
でも、俺がそれを口にしてしまったら、東京に戻ると決めた莉子を困らせてしまうと思ったから。


だから、今まで言わないでいたけど――。



「俺、莉子のことが好きやねん」


こんなにも莉子を想っているヤツが、すぐ近くにいる。

それをわかってほしくて。


「怒った顔も泣いた顔も全部知りたい。…でも、やっぱり莉子には俺のそばで笑っていてほしい」


強がりで意地っ張りで、他人に弱いところは見せない莉子。


そんな莉子が、心に抱えていたつらさを吐き出してくれた。

思いのままに、俺にぶつけてくれた。


だから、俺はもっと莉子のことを知りたい。

一番近くで。



「莉子には、野球部のマネージャーとしてこれまでたくさん支えてきてもらった。やから、次は俺が莉子を支えたい。…莉子の彼氏としてっ」