ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ

なにを今さらそんなこと――。


とは思ったが、ずっと東京で暮らしていた莉子にとっては、きっとこの土地は田舎で窮屈だったことだろう。

それに、お父さんとお母さんが亡くなった場所でもある。


俺にとっては大好きな地元が、莉子にとっては大嫌いなところになってもおかしくはなかった。


だけど、莉子はこの土地で俺たちに出会ったことに感謝してくれている。


その言葉を聞けただけで、十分だった。



「じゃあ、莉子。明日、学校でなっ」


フラペチーノを飲み終わると、悠は用事があるとかで先に帰った。


「俺たちもそろそろ帰るか?送るで、莉子」

「…ううん。今はまだ…ここでこうしていたい」


今の時期、日が沈みかけたら気温がぐっと下がる。

部屋着姿の莉子は薄着だったから、莉子のためと思って言ってみたけど、どうやらまだ帰りたくないらしい。