ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ

会場で、悠とも会った。

しかし、俺たちに言葉はなかった。


なぜなら、莉子のあんな変わり果てた姿を見てしまったら、言葉なんて出てくるわけがなかった。


莉子はだれに気づくこともなく、ただぼんやりと遠くのほうに目を移しているだけだった。


…きっと、まだ現実を受け入れられていないのだろう。


当然だ。

俺だって、莉子のお父さんとお母さんが亡くなっただなんて…未だに信じられない。


俺がそうなら、莉子は尚更だ。


だから余計に、そんな莉子にかける言葉なんて見つからなかった。



莉子は、数日たっても学校にくることはなかった。


秋晴れの心地いい天気が続くが、あの土砂降りの雨の日に莉子の身に起こったことを、…俺たちは忘れられない。


だから、悠とも会話は弾まなかった。

いつもなら莉子も交えて、くだらないことを話しているのに…。